一方、環境問題に対する世界的気運の高まりから、天然ガス自動車の普及は全世界的に広がってきている。
二十世紀型の自動車文明は、悲惨な戦争を呼びこむ<巨大な戦争装置>であった。
石油争奪の戦争圧力を弱めるもっとも現実的で、いますぐに可能な方法は、アジア的軽自動車によるモータリゼーション、そして路線バス、走行エリヤが限定されたトラックについては、天然ガス化をはじめとしたエネルギー多様化である。
中国とは、エネルギー利用方法を棲み分けるのがアジアの平和戦略となる。
第二次世界大戦が勃発した理由に海外油田の確保があったことはいまさら説明するまでもない。
満州に進出した日本は、米国、英国、中国の包囲網の中で石油の禁輸政策を受けてやむにやまれずインドネシアはスマトラ島の油田確保に向け、南方に戦線を拡大。
一方、ナチスドイツは、旧ソ連邦のカスピ海バクー油田確保に向け、戦線を東方に拡大した。
そして両国とも自滅してしまった。
やがて第二次世界大戦後も石油資源を浪費する二十世紀型自動車文明は、悲惨な戦争を呼びこむ<巨大な戦争装置>となっていった。
そして二十丁世紀の前半も米国と並んで石油資源確保のためにその装置を起動させるのは超軍事大国化、の道を快進撃しつづける中国原油は、製油所でもガソリン、灯油、軽油t A重油、B重油、C重油、アスファルトなどに分溜精製される。
そしてガソリン、灯油、軽油、A重油を分溜した残りの残さ油は、廃物利用として火力発電所にまわされてきた。
石油の中心はあくまで自動車燃料のガソリン、軽油なのである。
二十一世紀を迎えてもなおその傷がいえないベトナム戦争の裏面にも石油利権があった。
太平洋戦争のあと、フランス植民地からの独立戦争、アメリカの軍事介入とつづき、えんえんとつづいたベトナム戦争のフランス、米国側の戦争動機は、明らかにブンタウ沖油田にあった。
ベトナム戦争の終結から4分の1世紀ほどたって、期待したほどの油田は眠っていないのではないかといわれはじめているが、開戦当時、セブンシスターズ(国際石油資本)たちは大いに期待をかけていたのである。
東南アジア原油には、自動車の燃料タンクにそのまま給油しても走れるような粗製ガソリンがそのまま噴出する油田が多い。
セブンシスターズたちが血なまこになったのもうなずけるのである。
しかしブンタウ沖の1本の試掘井から、最初の原油が噴き出したちょうどそのときも旧南ベトナムの首都サイゴンは陥落してしまい、日本興業銀行なども参加していた日米仏合弁のその石油開発会社は、試掘井を海底に埋めて撤収したのであった。
当時、通信社の現場の記者をしていた私の脳裏には当時の動きが鮮明に刻み込まれたままなのだ。
石油は戦争を招く荒ぶる悪神″である。
そしてその石油で世界中の自動車が走りまわっている。
逆にいえば、自動車さえがなければ石油は不要でも戦争する必要など全然ないのだ。
湾岸戦争も、ペルシャ湾岸の石油のためであったことは説明するまでもない。
これから使う「戦争」という言葉は、広い意味の戦争で、その範囲は軍隊と軍隊とが直接交戦する古典的戦争だけではない。
相手国に深刻なダメージを与える経済戦争、空母艦隊などを威嚇、サイバー戦、さまざまな間接侵略、冷戦などと範囲を広くとっている。
アジアでは二十一世紀の前半、戦争圧力がピークに達っすると、記者は予測する。
この未来予測に異論を唱える読者諸賢は多いかも知れない。
が、決して私は過激な予測をしているわけではない。
アジアの戦争圧力が二十一世紀のはじめにピークに達すると予測する理由は、台湾を併呑しようという北京政府の中華民族的欲望をぬぐい去ることはほとんど不可能だからであり、一方、台湾の多数はそんな欲望には決して屈しないからである。
国家永遠の独立は、短い個々の生命よりも偉大で尊いものなのである。
しかし冷静な思考力を有する超軍事大国のプロフェッショナルな指導者たちがそのような民族的熱血だけから台湾の併呑を主張して、武力行使の可能性まで露骨に公言するなどということは考えにくい。
中国が台湾の併呑を熱望し、台湾をノドから手がでるほど欲しいのは、西太平洋の海洋覇権を確保したいからにほかならず、日本領尖問詰島周辺などの油田利権、中国と中東原油とを結ぶシーレーン確保のために地政学的に必要欠くべからず場所に台湾があるからにはかならない。
中国にとって台湾島は、西太平洋を坤脱する不沈空母″そのものなのである。
中国は今、中東石油の確保と、その中東からインド洋、マラッカ海峡、南シナ海、台湾海峡、東シナ海にとつづく石油のシーレーン防衛のために、空母艦隊の創設を着々と進めている。
その空母艦隊が西太平洋を航海するとき、非民主主義の共産党独裁政府と、中国海軍とが実力行使の誘惑と野望にかりたてられるのは、人類戦争史の必然であり、何人といえども押し止めることは、ほとんど絶対的にできえない。
歴史は必ずやくり返すのである。
すでに中国は、ベトナム戦争直後の混乱に乗じて、南シナ海にあるベトナム領の島々の軍事占領を既定事実化して、さらには南シナ海の全海域を中国韻海と宣言し、東南アジア諸国とのあいだであつれきを呼んでいるし、日本領尖閣諸島周辺の海洋でも、着々と実効支配の実績を積んでいる。
台湾と戦争状態に突入するのは、もはや時間の問題といえるのではないか。
中国のこうした国家的欲望を突き動かすモチベーション(動機)は、いま燃え上がろうとしている中国のモータリゼーンヨンであり、アジア大戦に遵進する戦争圧力とは、石油争奪戦圧力なのである。
中国の火力発電は基本的に、埋蔵量が多い石炭火力だ。
原油の輸入はモータリゼーションのためなのである。
いま、明白にいえることは二十世紀の自動車文明は石油争奪戦争なしには成立しなかったのでありもそうした自動車文明の構造は、二十I世紀のアジアに引き継がれているのである.強調のためにくり返させて欲しい。
巨大な中国大陸で二十世紀型のモータリゼーションが、欧米諸国、日本と同じようにくり返されるとき、中国と台湾、中国と日本、中国と東南アジア諸国、中国とインドなどとのあいだで、経済的な、さらには軍事的な石油争奪戦が激化するのは、歴史の必然である。
知恵がなければ、歴史は必ずやくり返すというのが、いつまでもこりない人類の歴史であった。
こうした石油争奪戦の圧力を弱めるもっとも現実的でもいますぐに可能な方法は、アジア的な軽自動車によるモータリゼーションであり、そして路線バス、走行エリヤが限定されたトラックなどについては、天然ガス化をはじめとしたエネルギー多様化である。
しかし乗用車について言うと、わたし(記者ではない会社経営者としての)がアジアビジネスの現場でも実際に肌で感じてきたのは本土の中国人、東南アジアなどの華僑にこびりついた強烈な虚飾の意識だった。
軽自動車などはとんでもない、乗用車といえばベンツか、クラウンでなければならないのである。
修理に困るはずなのに、わたしは中古のジャガーを何台も中国本土に直接輸出した。
日本の韻土と公海上ではそれは通産大臣の承認をえた合法的な正規の輸出だったが、船積みした中国船が中国の領海に入ったとたんにそれは密輸となった。
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